受講者の声

受講者の声

東郷佑衣様

お名前:東郷佑衣様
お住まい:埼玉県
職業:字幕翻訳家

お名前:東郷佑衣様
お住まい:埼玉県
職業:字幕翻訳家


プロフィール

フランスに6年、アメリカに2年、マレーシアに2年滞在。マレーシア滞在中に海外の制作会社のトライアルを受け、フランス語ドキュメンタリーなどの字幕を経験する。京都クロスメディア推進戦略拠点(KCROP)の映画字幕ワークショップ※1(2018年11月)に参加し、トライアルに合格。字幕翻訳者としての活動を続けている。


映画字幕ワークショップを受講する以前からフランス語のドキュメンタリーの字幕翻訳や、日本の番組に日本語の字幕をつけるCC字幕※2などの仕事はしていたのですが、映画の本編を担当したことはありませんでした。当時は翻訳者どうしのつながりもなく、業界や字幕についての知識や情報を得ることができればいいなと思い、2018年の映画字幕ワークショップに参加しました。

セミナーの講師は長年字幕制作の業界で活躍されている方で、ざっくばらんにいろいろな話を聞かせてくれました。クラスの雰囲気もとても和やかで、気兼ねなく質問もできたため、楽しく受講することができました。ワークショップ後にはトライアルを受けさせていただき、2019年の京都ヒストリカ国際映画祭上映作品であるインドのホラー映画『トゥンバード』の字幕翻訳を担当する権利を獲得しました。実際に自分が字幕をつけた作品が上映された時の感動は今でも忘れません。

現在では、同ワークショップで出会った先輩翻訳者さんや字幕ディレクターさん、映画祭関係者の方など、さまざまな人とのご縁が広がり、字幕翻訳者として活動することができています。家族の仕事の関係で引越しが多く、ひとつの仕事でキャリアを積めないことが悩みだったのですが、字幕翻訳はどこにいてもできる仕事であることや、作品のジャンルや内容によってさまざまな調べ物をするときに、これまで暮らしてきたいろいろな場所での経験が思わぬところで生きてくることもあり、ばらばらだった人生のピースがひとつにつながったように感じています。

最近では『BILLIE ビリー』※3という音楽ドキュメンタリー映画や『パリ 1986』※4という海外ドラマを担当させていただきました。どちらも調べることが多く大変でしたが、非常にやりがいがあって楽しかったです。字幕翻訳の仕事では、英語の勉強はもちろん日本語も意識して知識を蓄えていくことが必要です。私も普段からベテランの翻訳者さんの字幕で勉強したり、漫画や日本のドラマでさまざまなキャラクターの話す言葉を勉強したりしています。

これから字幕セミナーを受ける方も、ここで字幕の魅力を感じて突き進むことができれば、とてもやりがいのある奥深い世界が見えてくると思います。仮に仕事につながらなくても、興味のある世界に飛び込んでみると必ず新しい発見があると思うので、まずはチャレンジしてみることをおすすめします。


※1 京都クロスメディア推進戦略拠点(KCROP)が京都を中心とした関西の翻訳家を対象に、2014年度から2021年度まで開催してきた2日間の無料のワークショップ。ワークショップ後には、希望者に向けてトライアルコースが設けられており、合格者は翌年の京都ヒストリカ国際映画祭で上映される長編映画の字幕翻訳にチャレンジできる。ONSTAの前身となる講座である。

※2 映像内に使われている音声情報の内容を、主に聴覚障害者に伝える目的で制作される字幕。

※3 『BILLIE ビリー』: 2021年に劇場公開されたジャズ・シンガー、ビリー・ホリデイのドキュメンタリー映画。https://billie-movie.jp/

※4 『パリ 1986』:2022年放映、実話を基にしたフランスのドラマシリーズ。ディズニープラスにて独占配信。